鬼灯堤燈

黄泉途の惑う汝の途照らす灯り持たそか鬼灯つけて




ゆっくりゆっくりゆっくり

その先には沈黙



目の前で人の命が消えるたびに、
「ああ、儚いものだな」
などと思いながら。

それでもその人の命が消えるまでの短い間、その人が命を燃やしきるまでの壮絶な生き様に毎度毎度驚かされて。
人を恨まず、自分に甘えず、「生ききる」人たちの姿というのは記憶に残っていつも私を戒める。


ねえ、桜の季節に露と消えた貴女よ。
後二ヶ月もしたらきっと今年も綺麗に桜の花が咲くよ。

大好きだった貴女にその花の香りが届けばいい。
その花を届けたときに、息をするのも苦しいはずなのに少しだけ微笑んでくれた貴女に届けばいい。

その香りが届いたら、何度も同じ傷を引き摺る私を「馬鹿だ」と笑ってはくれないだろうか。