花冷えの雨

寒さ耐え咲く桜花にも降りやまぬ心もとない春冷えの雨

その花の日陰に在りて然り気無くあの目に留まる為のみぞ咲く

我在るは夢の中にぞ春酔いの夜は短し君待ちの夢

朝闇に忍んで摘みし桜花真白き君の御髪に添えて

舞い散った花びら集め君飾る　お伽の国の姫様のよう


朗々と唄う姿の凛々しきや百歳過ぎた湯殿の乙女

羅列「現世迷路」 ま～も

ま　　街はまだ目覚めていない午前４時酔い醒ましつつ平和を祈り

み　　見ないでと云った貴女の右腕はこの世を迷う印や傷や

む　　無秩序な君の言葉に花束を 棘だらけなのお似合いでしょう？

め　　迷路だ、と君は云ったね。現世の夢は真実でこの世は夢で、 

めいろだときみはいったねうつしよのゆめはまことでこのよはゆめで

も　　物語進めるうちにコンナハズデハナカッタと主役は誰しも


２０１１．４　ついっ短歌で３回目
『羅列「現世迷路」うつしよめいろ』

自由論者

ペンギンのショーを無視する姿見てああいう風に在りたいと云う



 

羅列「現世迷路」 は～ほ

は　　春宵の記憶に夢を汚されて眠れずにいる堕ちてく深夜

ひ　　拾わない言葉をそっと踏みつけて歩く一方通行の夜

ふ　　不自然な言葉の裏に隠された君の本意を見て見ぬ振りで

へ　　平気 もう生きていけるよ だからもう君の人生にさようならを

ほ　　本人の証明をする方法がわからずにいる午前３時


２０１１．４　ついっ短歌で３回目
『羅列「現世迷路」うつしよめいろ』

羅列「現世迷路」 な～の

な　　謎解きをするほど離れ見失う 君の言葉のひとつひとつを

に　　逃げて さあ どこに逃げる？ 理由も無しの独りかくれんぼ

ぬ　　縫い付けたゼッケンみたい 貼られてるレッテル 僕の目には見えない

ね　　ネックレスなど簡単に千切れるの あなたは首輪のつもりでしょうが

の　　ノイズだけ 耳にざわめくこの音が胎児の記憶安堵の記憶


２０１１．４　ついっ短歌で３回目
『羅列「現世迷路」うつしよめいろ』

羅列「現世迷路」 た～と

た　　脱出した先に何を見つけるか わからないなら再び檻へ

ち　　近いほど君が遠くて堪らない 二度と交じらぬ旅路と気付く

つ　　連れ立って歩く彼女を労って微笑む君の隣に昔

て　　展開が予測できない君といて吐く溜め息は春霧となり

と　　当然を当然とする人といて当然などは当然でなく



２０１１．４　ついっ短歌で３回目
『羅列「現世迷路」うつしよめいろ』

羅列「現世迷路」 さ～そ

さ　　最初からこれは夢だと知っていた 胎児の夢の出口を知らず

し　　写真には残りたくない 思い出す為の鍵など決して要らない

す　　数字とか具体的には見えずとも感動する子 解らぬ大人

せ　　生活のその先にある何かをも生活の中削って生きる

そ　　存在を記憶の淵に沈めても吐き出す泡に揺らぐ水面の


２０１１．４　ついっ短歌で３回目
『羅列「現世迷路」うつしよめいろ』

羅列「現世迷路」 か～こ

か　　「感激」を口癖にする人といて世界が薄くなってる錯覚

き　　技術的経験は無し 問題はやる気があるか根性あるか

く　　くれぐれも御自愛ください どなたかの人生とやらに関わるならば

け　　傾向と対策 全部マニュアルがあるのねそれが役立たずでも

こ　　今後から街であなたを見かけても知らない振りで忘れてゆくね


２０１１．４　ついっ短歌で３回目
『羅列「現世迷路」うつしよめいろ』

僕の歩く道

夢に見る引き返せない旅の先
 

辿り着くとき
 

君が居たなら

 

羅列「現世迷路」 あ～お

あ　　曖昧な感情をもて余す今誰かに君を奪われたくて

い　　一応、と前置きされた話には君の気持ちは無いのでしょうね。

う　　運勢を雑誌で確認するうちは運命的な衝撃はなく

え　　絵本には入り込めない 守られるお姫様にはなりたくなかった

お　　お元気で　また会うこともないでしょう　ただ人生の通りすがりで


２０１１．４　ついっ短歌で３回目
『羅列「現世迷路」うつしよめいろ』