あの日の記憶

 今宵の月はとても紅くて、あの日の君の絶望に似ていた。

散花

僕はずるいよ


勝手に記憶を足枷にして
守れなかった約束を守ろうとしている

僕はずるいよ


君の記憶を消さないように
裏切りばかり続けている


僕はずるいんだよ
今も変わらないよ

君に与えた悲しみを
今更自分に負わせている



僕はずるいよ
今更だけど

君に僕の傷を知って欲しくないと願っている

ゆめのあと

あなたのゆめをみてました　　　　　　　　

とてもきれいなゆめでした




だからこそぼくは

あなたをかなしませたじぶんがゆるせない

めぐる

その日が近づいて来る度に


気持が埋め尽されてゆく


消えそうな思い出と
夢見るような現実と
変わらない愛しさと
終わらない懺悔と

君が居ない空間に



潰されて
生かされて


また
繰り返し 

はかないいろ

絶望に沈んだ僕を其処から掬い出してくれるのは

いつも記憶の中で見詰めている
あなたでした 



だけど今は

それも儚い色

記憶

僕の心を何処かに持って行かないで


其れを無くしてしまったら
もう二度と君に逢えない 

切望

ただ一瞬でいいのです

一瞬だけ私の事を思い出して欲しいのです




思い出した時に貴方に生まれた感情が 

どんなものでも構わない 

１２・２８

絶望も希望も
ありとあらゆる感情も
全て飲み込んできたけれど

あらゆるものを飲み込んで
僕は強くなれたのかな


涙も
心も
魂も
嫌悪も
感激も
思慕も
冷たい手も
語らぬ背中も
味の違うキスも

飲み込んで先に進んで


僕は強くなれたかな

それとも
また何も変わらずに


何も変われずに
またあの日の君の事を思い出すのかな

見えない涙

君が



もし僕を許してくれると言うのなら

もう一度だけ

この肌荒れた頬に君の唇を寄せてはくれまいか

影踏

僕の影が僕を見つめている


責めているのか
先に進めない僕を

見守っているのか
先に進もうとする僕を